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GOETHE 鐘撞正也の住宅しゃべり場!Vol.21


例のマンションのデータ改ざん問題。
正直なところ、鐘撞さんはどう思う?

 ここ数ヵ月、世間を騒がせたマンションのデータ改ざん問題。担当者の資質や切迫した納期など、さまざまな要因が挙げられているが、これは建設業界がかねてより抱える問題の露呈だと僕は考えている。
 問題は大きく分けてふたつ。ひとつは設計と施工が分かれていないこと。海外では設計を「警察」、施工を「泥棒」と揶揄することもあるように、お互いの仕事内容に対し、いい意味で目を光らせるシステムが成り立っているのが普通。日本でも、実は商業ビルなどは設計と施工を分けて発注することが多い。というのも、商業ビルは最終的に不動産会社が保有する資産。確実な資産形成のためには、両社のチェック体制のなかで価値の高い建築物をつくることが必要だからだ。対してマンションや分譲住宅は、販売会社にとっては自分の資産ではなく売るための商品。改ざんは論外だが、利益を追求できる形で商品を販売せざるを得ないのが現実だ。
 僕がフリーダムを立ち上げたきっかけも、まさに業界のそんな習慣を変えたかったから。設計と施工をしっかり分け、施工監理という形でチェック体制を組み、最後まで責任を持つことが、本当の家づくりだという考えは、そこにある。


 そしてもうひとつの大きな問題が、マンションは完成前に販売価格が決まっている“青田買い”だということだ。注文住宅であれば、工事請負契約は地盤調査などを行ってから締結するもの。僕らとお客様が設計を詰めている間に地盤調査を行い、もし地盤改良工事などが発生する場合は、費用は明確に提示される。それはお客様にとって追加費用となってしまうが、予算的に難しければ設計の仕様変更などによりフレキシブルに対応することができる。しかし、マンションは完成前のはるか前に、すでに決定している価格で販売される。だからもし地盤調査の結果、予想より杭が必要になったとしても、その費用は消費者に価格転嫁できない。注文住宅のように仕様や間取りの変更で補うことも、すでに売買契約が交わされているから不可能だ。となると、必然的にゼネコンと下請けの関係のなかで処理せざるを得ないことになるわけだ。今回の件も、杭打ち業者が報告し費用が捻出できる仕組みがあれば、改ざんや隠蔽もなかっただろう。下請けだけが悪いわけではなく、明らかにマンション販売方法の矛盾した構造がその一因なのだ。
 この問題で業界への目も厳しくなったが、業界を変えたいと考えてきた僕らにとってはまさに追い風。この風に乗って、フリーダムはこれからも改革を続けるつもりだ!


Text=牛丸由紀子 Photograph=柳内 悠 Illustration=村林タカノブ

鐘撞正也の住宅しゃべり場!vol.22

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