耐震性能が住宅を守る!建てる前に必ず知っておきたい基準とポイント

9,776 view

住宅の安全性を確保するうえで、耐震性能は重要な役割を持ちます。耐震性能というと、地震の揺れに耐える性能を思い浮かべる方が多いことでしょう。

しかし、地震による被害を免れる性能は1種類ではありません。地震の被害を最小限に留めるためには、住宅や土地に合った性能を選ぶことがポイントです。

今回は、住宅を地震の被害から守る3つの性能について解説します。

住宅を建てる際には決まりがある!耐震基準とは

住宅を建てる際には決まりがある!耐震基準とは

住宅を建てる場合、間取りや室内設備などは自由に選ぶことができます。しかし、建築基準法という建物の安全性を確保するために守るべき決まりがあります。1950年に初めて施行されて以来、日本で大きな震災が発生する度に改正が行われてきました。

建築基準法のなかで一定基準の耐震性能を守るために定められているのが「耐震基準」です。建物を建てる際に、ある程度の地震に耐えられるよう耐震性能を備えておくことが基準として定められています。

もしも耐震基準がなければ、一定基準の耐震性能を全ての建物が保つことは難しいでしょう。建物の規模や間取り、用いる材や工法によって、もともと持っている地震への耐久性が異なるためです。

建築基準法内で定められている耐震基準では、建物の規模や工法、材によって守るべき項目が分けられています。当てはまる項目の基準を守ることで、一定の耐震基準を保つことができます。

耐震性能の高さは等級1、等級2、等級3の耐震等級で表され、等級が上がれば上がるほど耐震性能は高くなります。なお、耐震等級1は建築基準法で定められている耐震基準と同程度の性能を持つことを指します。

等級2は等級1の1.25倍の地震に耐えられ、等級3は等級1の1.5倍の地震に耐えることができます。

建築基準法の改正について詳しくは、耐震基準の改正はいつ? 木造住宅・マンションの改正前との違いは?をご参照ください。

耐震性能が高い家を建てるためのポイント

注文住宅の購入を決めた当初は、「耐震性能が高い家を建てたい」と思っていても、基本的な知識を知らない場合、いつの間にか家づくりが進んでしまう可能性があります。

耐震性能に優れた家を実現するのであれば、以下のポイントを押さえておきましょう。大まかにでも理解しておけば、打ち合わせがスムーズになります。

希望の耐震等級をハウスメーカーに自分で伝える

注文住宅で耐震等級2や3を希望するならば、打ち合わせの段階からハウスメーカーや設計事務所に、要望をしっかり伝えることが大切です。

規格住宅やマンションの場合、間取りの自由度やコスト面などのバランスを考えて、新耐震基準をクリアする、耐震等級1で建てるケースが多い傾向にあります。

しかし、本来耐震等級は、依頼先の基準に関係なく自分で決められるものです。素人だからといって遠慮する必要はありません。

費用面など耐震性能が高い家のデメリットも理解する

耐震性能が高い家には、万が一の災害に備えられるメリットがある反面、デメリットもあります。まず、耐震性能が高い家を建てる場合、計算費用や工事費用、設計料など、追加でコストが必要です。

参考として、耐震等級3の家を建てるために必要な費用を以下の表にまとめました。

追加で掛かる費用の目安
計算費用10~30万円
工事費用100万円~
設計料20~30万円

耐震性能が高い家を建てる場合、最大で200万円近く追加で費用が掛かると考えられます。また、耐力壁を増やす必要性などから、デザインの自由度が制限される場合があるのもデメリットです。

理想の家づくりを実現するためには、ハウスメーカーや設計事務所とよく相談し、デザインやコスト面の希望と、耐震性能のバランスをとる必要があります。

耐震性能評価書を取得するか検討する

耐震性能が高い家を検討する場合には、耐震性能評価書を取得するかどうかを考える必要があります。たとえば、ハウスメーカーなどでよく見かける「耐震等級3相当」は、あくまでも「相当」で、耐震等級3ではありません。

耐震等級の認定を受けていなければ、実際に耐震性があるかどうか分からないため、証明するためには「設計住宅性能評価書」が必要です。

住宅性能評価書を取得するには、評価機関によって料金は異なるものの10~20万円程度掛かります。

耐震・免震・制震の違いって?

住宅の耐震性能について調べていると、耐震のほかに免震や制震という言葉も目にします。地震の揺れを軽減する仕組みや、適した住宅・土地が異なるため、それぞれの違いを理解しておきましょう。

耐震

耐震とは建物が地震に耐えるために施されるもので、単純に揺れに抵抗するための性能を指します。地震による揺れは直接住宅に伝わり家にヒビが入ったり、家具が倒れたりといったリスクは、免震よりも上がります。

しかし、耐力壁の設置や耐震金物の使用によって、耐震性能を高めることも可能です。その場合は、ただ増やすだけでなく、1階と2階の耐力壁の位置を揃えるといった工夫が必要になります。

耐震性に関わる住宅の基礎について詳しくは、安全な住宅にするために…基礎について考えよう!をご参照ください。

免震

耐震住宅が「地震に耐えるための性能」であるのに対し、免震住宅は「地震の揺れから免れるための性能」を指します。住宅の下の地盤部分に免震装置を取り付けることで地震の揺れを逃がす働きがあります。

一般的な免震装置は、積層ゴムを使用するものが多いです。他にもボールを使用した装置や、平面をスライドすることによって揺れを吸収する装置などがあります。

制震

制震性能とは、住宅に伝わる揺れを緩和できる性能のことを指します。制震性能は耐震・免震性能よりも認知度が低いものの、地震の揺れを緩和することに優れています。

制震装置は柔軟性のある金属の材を、柱や壁付近に組み込むことで効果を発揮します。免震と制震は揺れを吸収するメカニズムが似ているため、混同してしまう方もいるようです。

しかし、免震と制震はそれぞれ全く違う性能であるため注意しましょう。住宅に免震装置を設置した場合、地震の揺れは住宅に伝わりません。

しかし制震装置を住宅に取り付けた場合、建物に揺れは伝わります。地震が建物に与えるダメージを全て取り除くことはできませんが、上階に上るにつれ揺れは軽減されていく仕組みです。

地震への備えを!耐震住宅を建てるメリット

地震への備えを!耐震住宅を建てるメリット

耐震住宅の定義は法律などで明確に定められていません。新しく住宅を建てる際には、建築基準法の耐震基準を守ることが必須になります。そのため、どの住宅にもある一定の耐震性能は定まっており、これらは耐震住宅に当てはまります。

また、全ての耐震住宅の工法が一定であるわけではありません。特別な工法を用いることによって耐震性を高められている建築物もあります。よって耐震住宅とは一般的に、耐震等級が2以上の住宅を指し示します。

それでは、耐震等級がより高い住宅を建てるメリットとは何でしょうか。

1つめに、「台風や強風などの影響を受けにくくなること」です。耐震性能とは、建物で地震の揺れを受け止め耐える性能のことを指します。この性能は台風や強風の揺れに対しても効果を発揮するため、台風や強風が発生しやすい地域にも向いていると言えます。

2つめの耐震住宅を建てるメリットは「施工費用がリーズナブルであること」です。一度耐震住宅を建ててしまえば、その後地震対策にかかる費用が発生することはあまりないでしょう。

また、工法を工夫することによって耐震性能を高めれば、リーズナブルに地震へ備えることもできます。

詳しくは、耐震住宅のメリットとデメリットを解説をご参照ください。

優れた性能を発揮!免震住宅を選ぶメリット

優れた性能を発揮!免震住宅を選ぶメリット

免震装置を取り付ける大きなメリットとして挙げられるのが、「地震の揺れを建物に伝わらせないこと」です。

耐震や制震性能を住宅に取り入れた場合、地震の揺れが建物に伝わること自体は予防できず、壁や構造にダメージを与えたり家具が転倒したりする原因になります。

地震が起こった際、住居に住む人がけがをしたり、亡くなったりする事故は、多くが家具の転倒や建物の倒壊が原因です。免震装置を取り付けることによって、これらの二次被害を予防できます。

一方で、住宅に免震性能を取り入れるにはデメリットもあります。免震性能は、耐震・制震性能よりも設置コストが高額になりやすいです。住宅に免震装置を設置する場合、施工の費用が数百万円にも上るケースは少なくありません。

また、地盤の状態によっては免震装置を設置できない場合もあり、耐震・制震性能よりも制限が生まれやすい部分もあります。免震装置を設置する際には、機能とコストのバランスが釣り合っているのかどうかを考えてみるのもポイントです。

詳しくは、家具の転倒も防ぐ免震住宅!仕組みとメリットが知りたいをご参照ください。

2階以上に伝わる揺れを軽減!制震住宅を選ぶメリット

2階以上に伝わる揺れを軽減!制震住宅を選ぶメリット

制震装置には「施工が完了している住宅にも後付けできる」、「免震装置よりも施工費用がリーズナブルである」などのメリットがあります。

免震装置は住宅の下の地盤に装置を埋め込むため、免震性能は施工前の住宅にしか設置することができません。一方、制震装置であれば住宅の内側に設置できるため、既存の住居にも取り付けられます。

耐震性能を兼ね備えた家に制震装置を取り付ければ、地震による影響を最小限に留めることもできるでしょう。耐震・制震性能を併用することで、コストを抑えつつも揺れに強い住居を実現できるなど多くのメリットがあります。

詳しくは、揺れをエネルギーに変える!制震住宅のメリット&デメリットをご参照ください。

耐震と免震と制震… 地震への備えとして人気の性能はどれ?

地震への備えには、耐震や制震、免震などさまざまな性能があります。それぞれ全く異なる特徴を持ちますが、皆さんの住居にはどの性能が設置されているのでしょうか。

今回は、地震に対する備えの中でも、人気が高い性能についてアンケートをとってみました。

【質問】
住宅を建てる(建てた)際、住宅に導入したいのはどの性能ですか?

【回答結果】
耐震 : 61
免震 : 29
制震 : 10

調査地域:埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 岐阜県 愛知県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 和歌山県 福岡県
調査対象:【年齢】30 – 39 40 – 49 50 – 59 60
調査期間:2017年09月15日~2017年09月22日
有効回答数:100サンプル

住宅を建てる(建てた)際、住宅に導入したいのはどの性能ですか?

人気が高いのは耐震性能!

アンケートの結果、得票数1位を獲得したのは「耐震性能」でした。それでは、1番人気が高かった耐震性能を支持する方の意見をご紹介しましょう。

・どんな地震が来ても半壊程度までに抑えられるような頑丈な家が欲しいですね。(30代/男性/正社員)
・免震と制震は何となくまだピンときませんので。(50代/男性/正社員)

耐震を支持する方の中には、「頑丈な家なら安心できる」、「免震や制震について良く知らない」という方も多くいました。耐震性能の重要性は幅広く認知されているようです。

次に、免震を選んだ方の意見をご紹介します。

・費用を気にしなければ免震が一番。他は、揺れても耐えるか、揺れを軽減させるが、免震はそもそも揺れを伝えないので、家具の転倒などを防げる。(30代/男性/個人事業主・フリーランス)

免震を選んだ方の中には、地震に対し優れた機能を発揮する点に着目している方が多いようです。しかし、コスト面が気になって実際には設置できないとの回答もありました。

最後に、制震を選んだ方の意見をご紹介します。

・極力地震に耐えられる建物が理想。その意味では高台で制震構造の建物がいい。(60代/男性/無職)

耐震や免震よりも得票数がかなり少ない結果となった制震性能。しかし、制震を支持する方の中には地震の揺れに対する効果の高さに言及している意見がありました。

今回のアンケートでは「耐震」が人気を集める結果となりましたが、免震や制震についてよく知らないという方がいるのも事実です。また、耐震設備に費やせるコストや望む機能によって、選ぶべき性能は変わってくるといえます。

耐震性能の基準や種類を理解し、安心安全な家づくりを

住宅を地震の被害から守る耐震性能。その種類は1つではなく、それぞれ特徴や揺れに対するアプローチの方法も変わってきます。住宅を建てる際には「耐震」、「制震」、「免震」のどの性能が適しているかを考える必要があります。

フリーダムアーキテクツなら施主の希望に合わせた家づくりが可能です。耐震性能を重視したいご希望があれば、耐震等級2や3の家をつくれます。

気になる方はまずは無料資料請求をいただき、ぜひお気軽にご相談ください。
◆◆「フリーダムアーキテクツが手掛けたデザイン住宅の作品集を今なら無料でお届けします。

関連記事:フリーダムアーキテクツの地震に強い家の事例はこちらからご確認ください。

カテゴリー:

新着記事

おすすめ記事