保険料が割安に?省令準耐火構造の住宅とは

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住宅の中には火災に強い構造を持つものがあります。たとえば、建築基準法で定められている準耐火構造がそのひとつです。
他には、「省令準耐火構造」の住宅があります。これは、準耐火構造に準ずる防火性能を持つ構造として、住宅金融支援機構が定めた基準に適合する住宅です。
省令準耐火構造の住宅とは具体的にはどういった住宅を指すのか、その特徴や省令準耐火構造の住宅にするメリットやデメリットをこれから解説していきます。

 

省令準耐火構造に適合する基準とは?

省令準耐火構造の建物であると認められるためには、以下に挙げる3つのうちいずれかに適合する住宅、あるいは工法であることが必要です。
まず、住宅金融支援機構が定める省令準耐火構造の仕様に基づいて建設された枠組壁工法住宅、あるいは木造軸組工法住宅であることです。
枠組壁工法住宅、と聞いてもピンと来ないかもしれませんが、ツーバイフォー(2×4)住宅と呼ばれる住宅であればこれに該当します。
もともとは昭和57年より簡易耐火構造に準ずる構造と呼ばれていましたが、平成5年の建築基準法改正に伴い、現在の枠組壁工法住宅と名称が変わりました。
したがって、昭和57年以降に建造された物件の場合は省令準耐火構造の住宅である可能性があります。

 

次に、省令準耐火構造として住宅金融支援機構が承認したプレハブ住宅も該当します。しかし、住宅金融支援機構の承認があったとしても、省令準耐火構造の仕様に該当するものとしないものがあるため注意が必要です。
また、仕様を有する場合であっても、選択する仕様によっては必ずしも省令準耐火構造の住宅にならない場合があります。そのため、省令準耐火構造に適合するかどうかは各プレハブ住宅メーカーに確認しましょう。

 

最後に、省令準耐火構造として住宅金融支援機構が承認した住宅または工法であることが挙げられます。この基準に該当する物件の場合、住宅金融支援機構から承認内容を記載した特記仕様書が発行されます。

 

省令準耐火構造住宅の特徴は?

省令準耐火構造の住宅の特徴は3点あります。1点目は、隣家などから火をもらわない「外部からの延焼防止」です。もらい火を防ぐためには、屋根や外壁、軒裏などを耐火性の高い構造にする必要があります。
省令準耐火構造の場合、屋根は市街地での火災を想定し、火の粉による建造物の火災を防止できるように、瓦やスレートなどの不燃材料で葺くこととなっています。
外壁や軒裏については、建築基準法の防火構造であることが必要です。具体的には、外壁を防火サイディング壁にすることなどが挙げられます。

 

2点目は、万が一火災が発生したとしても一定時間は部屋から火が出ないように「各室防火」であることが必要です。火災の被害を最小限に食い止めるためには、火災の発生源とその他の部分を完全に区切り、延焼させないことが大切になります。
省令準耐火構造の住宅の場合、各室を区画する構造である防火区画化となっているので、火が他室に広がりにくいのです。さらに、室内の壁や天井には火に強い石膏ボードなどが使用され、防火被覆が施されています。
これにより、柱などの構造部分に燃え広がるまでに時間がかかるため、避難や初期消火が容易になります。

 

3点目は、万が一部屋から火が出たとしても延焼を遅らせることができる「他室への延焼遅延」です。建物内部で火災が起こった場合、火が壁の内側や天井裏を伝って他の部屋へ燃え広がってしまいます。
省令準耐火構造では火が住宅全体へ広がるのを抑えるために、火の通り道となる壁や天井内部の取合部に木材や断熱材のファイヤーストップ材が設けられます。

 

省令準耐火構造住宅の火災保険料は安くなる?

省令準耐火構造住宅の場合、火災保険料が一般的な住宅と比べると割安になる場合が多いです。保険の内容にもよりますが、場合によっては半額以下に保険料が抑えられる場合もあります。

建物の構造によって火災のリスクが異なるため、火災保険に加入するときは建物の構造が保険料を決定する要素のひとつとして重視されます。
建物の構造はH(非耐火)構造、T(耐火)構造、M(マンション)構造の3種類です。それぞれの構造は柱の種類によって異なります。

H構造は木造物件であり、火災のリスクが他の構造と比べて高いとみなされるため、保険料は割高です。しかし、省令準耐火構造の場合は柱が木造であってもT構造と評価されます。

T構造と評価される建物には、コンクリート造やコンクリートブロック造、鉄骨造、レンガ造、石造などが挙げられます。
省令準耐火構造の建物はそうした建物と同等の耐火性能を有していると評価されるため、火災のリスクが低いとみなされ、火災保険料が割安に設定されています。

 

省令準耐火構造住宅にするデメリットは?

省令準耐火構造住宅は火災に強いため、万が一火災が生じたとしても被害が大きくなりにくいです。また、火災保険料が抑えられるといったメリットがあります。

しかし、注意点もあります。まず、省令準耐火構造住宅にするにはさまざまな基準を満たさなければなりません。
そのため、すでに住宅の建築プランなどが決まっている場合だと、基準を満たすために追加の工事費用が掛かってしまう場合があります。

また、各室防火のように部屋が区切られていることや内壁の素材などが定められていることにより、デザインの自由度は一般的な住宅と比べて下がりやすいです。

そのため、自分の好きなようにデザインした住宅に住みたい、という場合には省令準耐火構造住宅に住むのが難しいかもしれません。
最後に、火災保険料が下がったとしても、追加の工事費用などの関連費用がかさんでしまい、結果的に省令準耐火構造住宅のほうがコストがかかってしまう場合があります。
火災保険料が安くなるからといって省令準耐火構造住宅を希望する前に、費用面できちんと比較をしながら検討しましょう。

 

省令準耐火構造が標準装備か確認してみよう!

これから木造住宅を建てる場合、省令準耐火構造の建物にすると建物に掛ける火災保険や地震保険がおよそ半額から6割引き程度の保険料で加入できるようになります。
大切な家を守るための火災保険、地震保険ですが、住宅購入に関する費用を抑えたいという場合はいかに保険料を抑えるかが重要になるのではないでしょうか。
火災保険料以外にも、省令準耐火構造にするための追加工事にかかる金額を知っておくことも重要です。もし、省令準耐火構造の基準を満たすために必要な工事費用が、火災保険料の下がり幅と比べて割高であればメリットが少なくなってしまうでしょう。
したがって、事前に追加工事を行った場合の費用と、省令準耐火構造にしたことで生じる火災保険料・地震保険料の差額を比較しておくことが重要です。

 

また、省令準耐火構造の仕様を満たしていても省令準耐火構造と認められない場合があります。
そのため、建築会社やハウスメーカー、工務店を選ぶ上では省令準耐火構造が標準仕様かどうか、という観点から選ぶのも目安のひとつになるといえます。
これから住宅を建てる際には、これまで紹介してきた点を確認しつつ選ぶといいでしょう。

 

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