住まいの設計2014年3月−4月号

職住を隔てながらつなぎ、南の光を届ける中庭

Ｔさんは、勤務していたアパレル会社から独立し、自らのセレクトショップを立ち上げるため、店舗併用住宅を計画した。趣味のＤＩＹも盛り込みながら、フレキシブルな家づくりができる依頼先を探して、建築設計事務所フリーダムにたどり着いたそうだ。 敷地は、道路に面した間口約7ｍに対し、奥行きは約30ｍとかなり細長い。通りに対してショップをアピールできる外観デザインと、ショップと住まいの関係が設計の課題になった。

フリーダムが提案したのは、アウトドアファッションを扱う店のコンセプトを、植栽とウッドデッキをあしらったファサードで表現する方法。ショップと住まいの間には中庭を設け、両者を適度に隔てながらつないだ。この中庭は、北側に奥まった住まいに自然光を届ける役目も果たしている。
　住居側は、中庭に面した南側にリビングダイニングを、北側にキッチンと浴室・洗面を配した効率的なプランだ。ダイニングからは、ショップと共有する通り土間を介し、窓の向こうの道路まで見通せる。奥行きの深い敷地の特性をメリットに変えた、ダイナミックな距離感が味わえる。